デジタルデータの保存
その危険性
 

 ● 危険を避けるために :結論:

 その危険性について 
 ● 50年、80年以上 保存が必要な情報とは? それを安全に残せるのか?
 ● デジタル情報化社会の到来っていった いつから?
 ● メーカーの保証はあるか?(5社の回答例)
 ● 「デジタルデータ保存の安全性」 を保証できない理由は?
 



  ● 危険を避けるために :結論:



 1: 水面下の事実、リスク情報を収集する
デジタル情報の危険性を確認するため、まずは先進諸国の取り組み方を参考にするところから始めることが望ましい。 
又、所属する組織において 直接、現状のままでのリスクの度合いを確認する。 (国内外のコンピュータ関連メーカーに取材)

現在、使用しているデジタル情報の陳腐化がはじまっているなか、最新のシステムにマイグレーションする上で、システム間バインディングの最有力候補として、SGML・XMLと世界標準化のなかでの進化がみられているが、XMLスキーマの構築不足等、正確なマイグレーション技術が未解決であり、問題が山積していることが現状である。

米国保存アクセス委員会でもアナログとデジタルの共存を推奨しており、デジタル情報のみ にたよる保存の危険性を強く説いている。 
アナログ媒体の候補は、「中性の紙媒体」 と 「ポリエステルベースのマイクロフィルム」 が最有力候補として上げられる。 


 2: 保存情報は、可視媒体・アナログで保存。 そのデジタル化技術は陳腐化しない。 
活用用のデジタル情報ももちろん運用に使用し、アナログとデジタルの双方の長所で対応してゆく方法である。 
アナログのバックアップを 最新のデジタルシステム上に載せるチャンスを見出した場合には、CCD等で光学センサー読取りをして最新のラスターデータ(ビットマップ)としてデジタル運用を可能とさせることができる。 (この光学読取りの入力技術自体は、高度に進歩しており品質の向上の一途をたどり、過去のセンサーが陳腐化してなくなっても情報保存に直接の支障をきたすことはない) 


 3: デジタル情報をアナログで保存させる場合
Y2K問題のおり、某都銀がコンピュータデータを紙 (可視データ) にアウトプットした。
使用中のシステム更新の対応やシステム間のバインドを散々に検討した結果、アナログ化が一番懸命であると判断した。
 (幸いにもY2K問題による大きな被害は予想を下回った様子である)

紙の媒体(中性)は膨大な物量となり、万一の検索も人海戦術となり、コスト高となる。
情報管理スペースも必要となり、戦前のオフィス環境に逆戻りをするようであるが、万一の情報の安全保存はアナログ化が有効手段となった。
紙媒体の約1〜10%のスペースで管理できる銀塩のマイクロフィルムがアナログ保存媒体としてはスペースセービングにも効力を発揮し、最適と評価され、使用されている。 そして複製情報をつくり、80km〜100km以上距離をおいて分散管理させてゆくことが望ましいと言われている。


 4: マイクロフィルムの保存性と将来性
マイクロフィルム上の情報の光学的読み取りによるデジタル化やOCR変換作業、そのベクター変換などのデジタル変換技術も近年の急速な技術的進歩と平行して、益々、安易で安価で便利な方向に開発されつつある。 
マイクロフィルム自体のフィルムベースや解像力などの性能も技術的向上の一途であり、フィルムベースがポリエステルのもので黒化銀(ハロゲン化銀)を主に形成される最近のマイクロフィルムは、メーカーの実験による化学的裏付けと保存実績・経済性を考慮した場合、地球上で考えられる最も有効なアナログ保存媒体であろう。 フィルムベースがポリエステルのマイクロフィルムは温度湿度等保存環境を考慮した場合には500年〜800年の期待寿命とメーカーも明記している。

(ただし、フィルムベースがトリアセテートである旧式マイクロフィルムは、温度湿度管理等をおこたると30年前後で急速加水分解し劣化を起こした事例があるので所有されているフィルムが酢酸くさい場合は、ポリエステルベースのマイクロフィルムに複製する等、様々な処置方法があるので、私どもマイクロラボにご一報ください)


 5: マイクロフィルムへのマイグレーション
保存のためのマイグレーション(アナログデータへの移行)手数料ならば、現在も低価格化と高性能化の一途をたどり、将来にわたってもデーターの移行 (媒体変換) の手間、ヒマ、コスト等の想像がつく。 
デジタル情報の保存対策を考えたとき 
「デジタルデータで情報を活用、 アナログ媒体で情報のバックアップ」 という手法が、変遷するデジタル情報化社会・21世紀以降に情報を残すであろうと解釈され、先ずは「デジタル情報による保存」 その 「危険度の認識」 が日本国内において必要不可欠である。 


 6: 欧米などの先進諸国では
1925年ごろから紙情報のマイクロフィルム化が頻繁に行われた。 
そのマイクロフィルム情報のデジタル変換機械は、1980年代ごろから開発、販売され、容易に可能となった。
そしてデジタル情報化社会においての新たなニーズ。 
デジタル情報をどのように永年保存すべきか? 既存のデジタル情報をどのようにマイクロフィルム化すべきか? 
1990年代、そのニーズに対応して登場したのは、CADデータのようにデジタル情報を先に作りこんだ情報をマイクロフィルム化する機械 (レーザー光線で超高速にマイクロフィルムに書込むマシーン)である。 
日本においても2000年前後ころから、その販売とそのサービスが導入された。 
海外において、様々なリスク回避 (下記参照:PL訴訟対策や人災天災地災の対策等をも含む)の対策に万全を期す先進諸国ではその対応が常識となりつつあり、リスク回避に完全に対応する形でのアナログ化バックアップ (FBIA発足) がすでに大きなマーケットを形成しつつある。 



 7: 日本のみ例外か? リスク回避チームをつくり調査を!
先進諸国の中で、デジタル情報の管理、保存不備によるリスクは、日本のみ例外というわけにはゆかない。 
すべては、今、現在、「デジタル情報による保存のリスク」 を認識する事から始まります。 そしてそのリスクを組織に知らしめなければならないでしょう。 
その認識に基づいた情報管理者の今後の行動一つで、今まで蓄積され、今後 蓄積してゆく情報の運命(組織の運命)の行方が定まるのです。 
先ずは、組織内において、リスク対策の検討会議を行うべきでしょう。



 




  ● 50年、80年以上 保存が必要な情報とは何か? それを安全に残せるのか?











 (耐用年数という観点)

耐用年数とは、(広辞苑第四版 引用)
 「機械・設備などのこわれずに使用できる年数。 特に企業の持つ固定資産が使用に耐えうる期間をいう。
  減価償却の重要な目安となるもので、法令で定めている」  とある。

経年劣化するものに対してつける使用可能想定年数であり、税率を積算するための数値。 リースの物件のリース料金を試算する際にも、商品:物(ブツ)の耐用期間が重要な意味をもつ。


特に 「壊れやすい一過性の物」 と判断された場合には、それ相応に短い年数となる。
例えば、テレビ(5年)や洗濯機(6年)などの場合、資産価値の試算の目安として、5年、6年、と法的にもそれに見合った償却資産税で使用する耐用年数が定められている。 備品でも鉄製などの場合は15年、陶器製やガラス製の場合はわずか 2年である。

例えば、水道用ダムは 80年、トンネルは 75年、鉄筋の業務用オフィスビルは 50年である。 
実際には、テレビ、洗濯機、ダムやトンネル、ビルなども含め、耐用年数以上の寿命でメンテナンスも考慮して稼動していることが現実であろう。

ダムやトンネル、ビルの情報(建築・設備図面、完成図書等)が、それぞれのCADソフト、各フォーマットの形式でパソコンレベルで検索、操作できるCDやDVDなどの媒体(リムーバブルディスク)で管理されはじめている。 
そのパソコン自体の耐用年数は6年から4年と変更になった。
50年、80年もの耐用年数の設定されたものの建築設計情報などを 将来に向けてデジタル化して保存し活用するとき、それらデジタル情報をいつでも必要に応じて引き出し、運用させる ということができるのか? という問題が欧米で提起されはじめた。

経済活動の進捗・経緯の記録として、各自治体における様々な台帳などの記録簿も大切な情報である。
そして人類の生存の証しである 「歴史資料」 も記録媒体を間違えることが許されない最たるもの(情報)であろう。


  ●コンピューターによる情報管理のさまざまな危険性

戦争やテロ犯罪など、国家間、民族間など、利権やイデオロギー等の摩擦から生じる争い事、その危険性は人類史上絶えること無く繰り返しつづけている大きなリスクであろう。

自然災害では地震や津波、風水害、火災などは、数十年数百年周期で必ず発生している事例もある。
エルニーニョ現象やオゾン層の破壊なども含め、人間に起因する自然災害も増加している。

HDDのクラッシュによる情報の消滅 という突発事故的の問題だけではない。

サイバーテロ被害、外部新入者(ハッカー・クラッカーなど)による情報の改ざんや崩壊、漏洩などという今だ解決のめどの立たない技術的いたちごっこ という事実も大きな問題がある。 
又、外部だけではなくオペレーショナル・リスク(故意又は過失の操作ミス、愉快犯も含め利権がらみの計画的犯罪もある) という外部からの攻撃だけではない解決されにくい問題がある。 

被害後の対処としても、国内の大手プロバイダー・ベンダー等のシステム管理、構築する側からしてもNET犯罪元を的確にトレーサビリティーできない という未解決な問題もある。

そして発生した犯罪に対する刑罰の問題。 日本の場合は組織内のコンプライアンス(法令)固めの不備も問題であるが、現実に日々新たに起きている様々なコンピュータ犯罪に網をかける国内の法体制の不備が問題である。 NET犯罪はただ単に国レベルの問題だけでは無くなっているために国際的な法的整備の確立と導入も急がれなければならない。


そして先進諸国でも特に懸念されはじめた問題が、ハードとソフトの陳腐化問題である。
コンピュータ製品そのものの実働年数の短期化。 短い周期で販売されることを経済効果として奨励し、短期化が妥当と認識された現状。 秋葉原で最新機種のパソコンやソフトに絶えず人が群がる現象が示すとおり、現在使用しているパソコンは「一過性で流行の製品のようなものである」と思わざるをえない。 

そして、それは流行というより、各コンピュータのアーキテクチャ・各系CPUの対応速度や言語、各OS、そのOS上での多くのアプリケーションソフトなどを含め、様々な階層と構造・性能、機能向上の進捗速度が早すぎ、現行機種の陳腐化してしまう速度と比例してしまっているだけの現象であり、当然の現象なのであろう。 その流行のままのハードとソフトに頼って入力してしまった情報は、「流行りがすたれた時にはどうするのか?」 入力した情報自体が流行になって終わってしまわないか? 
ほんの十数年前、5インチフロッピーもそうだが、それが流行る前に出回った8インチフロッピーディスクの再生機器は、秋葉原のどこの中古ショップを見ても見つからない。 その旧式機器を探しだす事だけでも自体が非常に困難な事となっている。 当時からそれを予測し、万全なバックアップで対応していた人は何人いたであろうか?

 




パソコンの耐久性の問題と平行して、情報の保存に適さないという不甲斐なさが露呈されただけのことでは済まない問題に進展することになりうる。 そのマシーンで格納された大切な情報の行方の不透明度合いが大きいという事をしっかりと認識したうえで、パソコンを効率良く活用、使用すべきである ということを強調したい。
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/01/16/14.html パソコンの耐用年数:引用


  

  ● デジタル情報化社会の到来って いつから?


アメリカにおいてゴア副大統領時代に情報スーパーハイウェイ構想が旗揚げされ、確実に実施された。 相当に後手となったが、日本においては村山内閣の時代に推進委員会が設立された。 ほんの20〜10年程前のことである。

その当時、1970年代、国内ではOSがUNIXなどの汎用コンピュータは大型かつとても高価で、金融機関や大中企業や官公庁など、特定の機関を中心に使用されていたが、急速な技術開発により、汎用コンピュータとパソコンとの垣根が限りなく無くなりつつある方向へ進んでゆく。
国内では1980年ごろからDOS-Vコンピュータがはやり100万円前後で販売されだし、コンピュータのパーソナル化が急速に進む。俗に言うNEC98ブームである。
MAC OSも重宝がられはじめ、高価だがグラフィック業界に端を発して、バージョンUPを重ね、現在のMACの地位に至る。

1995年、OS、Windows3・1に追随して95が発売され、世界中の多くがWindows95搭載の機器に飛付き、当然のように極めて多くの情報がWindousOSパソコンを通じてフロッピーやCD-Rなどに格納されはじめた。 当然、アプリケーションソフトの人気もMSシリーズに集約されてくる。 
パソコンの歴史自体も未だ浅いといえる。
それと平行してトロンOSやリナックスOSが進化しつつあり、各分野での次世代のOSの主流たるべくチャンスを狙っている。


21世紀に突入した現在も、(日本では前世紀末のわずか10年足らずの間) 急加速度的に多くの情報が、光ディスクやWindowsパソコン、各社の汎用コンピュータ等でデジタル化されて、それぞれに格納されている。 保存対策としては、別のデジタル媒体、HDDやDVD、CMTなどに複製を保存、というように解釈してそれを継続しつつある。 これは情報の運用の面だけで考えたとき、とても有効で効率化が為されたように思える。 

しかし、もうすでにバージョンUPによる互換性の不備やメーカーの製造中止等により、膨大な費用をかけてのマイグレーション(データの移行)作業が行われている。 今後も将来に向けての保存や運用を考えたときは、流動化している情報化社会では責任の所在も流動化して特定できにくいし、責任者の特定させようも無い。
各国の各大手メーカー先導型で開発と世界標準化が激競争化され、なおさら責任の所在、特定が不可能な状態が続いてゆく。 


日本においては、次々と刺激的に登場するデジタル情報の画期的技術、その運用の有効性に一喜一憂し、保存という概念はかき消されがちである。 危険なことではあるが、デジタル情報の保存について論理建てた正確な情報量が大変不足しているので今のところ致し方ないところであろう。


デジタル情報化社会が、人類の歴史(おおよそ500万年といわれている) の中では、あまりにも最近の 「珍現象」のため、 「保存」や「情報管理」の安全  という大切な現実の対応方法に熟慮がゆき届きにくいのは致し方ないことなのであろう。

 ※ここでいうマイグレーションは、データの移行のことであり、媒体の変換とフォーマットの変換の2つの方法論のうちフォーマット変換の意味合いを強調して訴えています。以下同様。




  ● メーカーの保証は? (5社の回答事例を参考に)


当社の従業員(個人的にパソコンの購入を検討している)が、2001年8月に国内外の8社、最大手と思われるコンピュータメーカーに 「デジタルデーターの保存」 について下記の質問をメールで投げかけました。 下記の回答事例は、情報の長期保存を携わる人たちにとって見逃すことの出来ない内容も含まれていましたので参考とさせて頂きました。


質問

  扨て、以下の質問にお答えくださいませ。

 この部署にて回答できない場合は、回答できる部署又は、その責任者の方の
 ご返答をいただきたいので宜しくお願い申しあげます。
 
  「現在、御社にて一番売れ筋のパソコンで、
  自分の日記やデジタルカメラで撮った家族の画像情報を格納してゆこうと考えています。

  1・ その情報は、どのように保存すべきですか?
  2・ 又、その保存方法で何年先までその情報が使用可能ですか?
     子供や孫の代までアルバム代わりに開けますか?
  3・ その情報の管理、保存の保証をしてもらえるのでしょうか?

   

ご回答いただけた誠意あるメーカー様

 :回答事例

   So社 様
   Sh社 様
   Ep社 様
   To社 様
   Fu社 様
 
 の8社のメーカー中、5社のみ、このような誠意あるご回答をいただけました。(3社は未回答)
 難題に丁寧にご回答いただいた会社であり、その誠意ある対応に敬服するところです。
 


回答事例には、「デジタル情報の保存について保証します」 という内容はやはり明記されませんでした。 
それは、世界中でも当然に認識されつつあることです。

なぜ、「保存の保証」 を明言しないかは、メーカーだからこそわかる 「予測できない」 という現実があるからこそ、ということが回答事例の文面からも伺い知れます。 コンピュータの構造や言語やOS、対応ソフトに詳しい製造メーカーが、あえて「保存の保証」に触れない広告ばかりとなるのは、当たり前であり、極めて常識な事と理解すべきでしょう。


世間一般でよく耳にするデジタルデータの保存対策は、
「HDDを複数、又はCDやDVD、MOなどのリムーバブルディスク等で2部くらいづつバックアップ作っておけば当面問題なし」 というような対策が行われがちですが、上記メーカーの回答を見ても解かるとおり、 「当面の話し」であり 「保証のできない状態」 ということです。 
製造メーカーが保証せずしてだれが責任をとるのか? 回答の中の文面にもありましたが、責任はやはりコンピューターのみで管理させているユーザー(担当者)に他ならないのです。
 以前に当社からメーカーへ、同じような内容の質問を直接行いましたが、やはりデジタルデータによる保存の安全性の確認にたどり着くことはできませんでした。 

デジタル情報のみで大切な情報の保存を行って安心されている方々は、ぜひ 同じようにメーカー側にメールで確認してください。 今、ご使用のコンピューターのメーカー(商品の製造責任を負っている) やソフトハウスなどに積極的にお問い合わせを試みてください。


近い将来、デジタルデータの保存問題で、大きなリスクを背負わされる前に より多くの情報を収集して「デジタル情報の危険性」を確認していただいた上で対処され、文明の利器、コンピューターの長所を存分に活用していただきたいところです。 





  ● 「デジタルデータ保存の安全性」 を保証できない理由は?


デジタル情報の保存に対して、安全性・恒久性を唱えた言葉を 研究者もメーカーもカタログ等でもふれようとせず一言も発しないのはなぜか? なぜ表明する事ができないのか? 表明したら大変な責任を負うことになるからであり、下記のような要因が上げられます。

ハードメーカーの機種のバージョンUP時や生産中止、又はそのメーカー企業、下請け企業の倒産の危惧。
そのドライバーソフト、OSと各アプリケーションソフトのバージョンUP時や生産中止、又はそのソフト企業、下請け企業の倒産の危惧。 
TiffやJPEG、PDFなど、様々に開発される各種フォーマット、その対応ソフトの変遷と次世代フォーマット・ソフトへのバージョンUP時の危惧。 
開発言語、通信(プロトコル)の開発に伴って競い合うJISやISOなどの標準化争奪戦。 又、その変遷、継続性の危惧 と次世代OSや次世代言語へのバージョンUP時の危惧。
リムーバブルディスクやHDDなどデジタル媒体自体の変遷と次世代媒体へのバージョンUP時の危惧。 
経験値の少ない上記の ハード、媒体等の物理的経年劣化の危惧。   など・・。

デジタル技術自体が「日進月歩」 ならぬ 「秒進分歩」 することによるハードやソフトの陳腐化は、欧米では10年前くらいから問題視され、表面化しだした。 様々なアツレキ?を横目に実態を取材した映像なども次第に作成され放映された。 日本(紀伊国屋書店)でも販売されている。 それにリムーバブルディスク(FD、CD、MOやDVDなどの書換え媒体)自体の保存環境の維持と 未経験の経年劣化を含めた危惧を想定すると、50年後などはとても不可能と言わざるを得ない。

日本国内では情報の保存をその義務の大きな役割として担当する図書館、資料館の研究者の方々によって、海外の情報をいち早く集めて調査、翻訳し、警鐘を鳴らしている。




それに、その時代時代に開発される 『最適な運用形態となるデジタル環境の整備』 というサイクルが50年の間、周期として何度か訪れる時、 データをその周期の都度マイグレーション(フォーマット変換)する事が重要なカギとなる。 ただシステム間バインドするためのマイグレーション(フォーマット変換)を繰り返せばよい、という方法は今後、益々リスクが大きくなるであろう。 
すんなり50年間 移行しつづける事ができる可能性は高いか低いかは技術進歩が解決してゆく問題なのでとりあえず高いとしたい。 

たとえば記述言語の変遷は、OSのそれなどより 若干は希望が持てる。 一昔前からのSGMLでデジタル文章を統一、標準化してきた方針から、海外ではそれに拡張性を可能としたXML言語の簡便性が解かれ、その標準化の方針へと変遷を見せている。 
国内でもXML言語は次世代Web記述言語として太鼓判をおされている。 
相互記述言語同士の特性が親子のような互換性があったのでマイグレーション(フォーマット変換)が簡便でデーター移行の可能性は断たれなかったが、やはりマイグレーション(フォーマット変換)の工程、手間暇・費用が必要となる。 

今後も言語開発の速度も早くなる一方である という当然の仮定をした場合、XML自体、その使用期間効果は 「50年は標準としてもつ」 と専門家にささやかれてはいる逸材ではあるが、いつまでもマイグレーションなく有効に使用されることを誰が保証してくれるのかは定かでない。

今後、統一されるであろう世界標準の規格が何であれ、どんなに有効であろうとも、それが将来に向けて何年間保証とは、誰も明記してくれないであろう。 
それは、デジタル情報が発展途上であり続けるること、目に見えない不可視情報であること が続く限り 「特定できない責任所在」 というジレンマとなり、いつまでも保存に対して不安材料をぬぐうことはできない。




万が一、マイグレーション技術(フォーマット変換技術)が時代時代のその都度、移行をクリアし続ける技術が開発され得たとしても、その工程の度に生じてしまう様々な問題がある。
 @マイグレーション(フォーマット変換)に費やす時間  
 Aマイグレーション(フォーマット変換)の最中の作業ロスが及ぼす様々な影響 
 B技術保証(アフターケア・メンテナンス含む)
 C移行後の情報内容正誤の確認
 D法的証拠能力の判定、認証 
  (これは比較的早期に法的に解決されるかもしれない期待がある)
 Eそれら、すべてにかかる費用 
  (移行ソフト開発費用なども上乗せされる)(見積もりの予測や想像がつかない)
  という問題。

 Eのかかるコスト換算だけ考えても想像すらできないが、その周期の数だけ、掛算してその出費を繰り返すこととなる事を認識しなければならない。 


フォーマット変換のたびに費用が発生。
今後、 いくら費用が掛かり続けるのか?



下文は情報学の一研究者様の見解。 

その研究者様曰く、

『デジタル情報は、NETインフラ整備と平行して、活用に便利この上ないレベルになりつつある。そして更に開発が続いている。 
情報の活用という点では、あらゆる分野で今後も急速度的に開発、運用されるでしょう。 
そして今後も、大手開発メーカーとそれに繋がるソフトハウス、販売店は、その大喜びな状態の継続に励み、その分、逆にエンドユーザーの購入機器とそのOSや対応ソフトの陳腐化が続き、その不安とその対策の為の出費の状態が続く。 

それは「永続的な商いの循環システム」 にどっぷり入ってしまっている という事である。 

メーカーとしては故意又は過失による循環であろうが、どちらであっても資本主義国家であるから正しい事である。 
エンドユーザーもそういう資本主義的な方向から見える事実をきちんと見つめ、認識したうえで、今後を覚すべきである。 
大切な情報の保存という面においては、資本主義競争・デジタル戦略などの人為的都合に大きく左右されにくいところで考えなければならない。
そうなると従来のアナログ媒体を選別すべきであろう。
それをしっかりと対処されてはじめて、デジタル情報の活用を安心して十二分に享受することができる』 

とのご意見、資本主義体制から観た捉え方である。  


デジタルデーターの情報は、資本主義の 「使い捨てのサイクル」 に載せて良いのでしょうか?  リスクはすでに迫ってきている。
デジタル情報を 活用だけではなく 「保存」 という視点からその安全性を問いただし、リスク回避対策を行うには、これらの問題意識を持つところから始まるのであるといえましょう。 






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