乾燥剤(シリカゲル)の使い方
(例えば35mm(銀塩)ロールフィルムの場合)
・マイクロフィルム自体の含水量について
例えばキャビネットに入れる時のマイクロフィルムが60%RHで平衡になっていて、そのフィルムを保存に理想である湿度の30%RH
にする時、何グラムの水を取る必要があるかを計算します。
フィルムの含水量フィルムから取るべき水分量はキャビネット一段(1列11本×6列とすれば)あたり、乾燥剤が吸収する水分は、フィルムだけからは下記のように計算されます。
フィルム1本の含水量
35mm×100feet
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TACベース品
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PETベース品
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60%RH
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4.20g
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1.68g
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30%RH
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2.22g
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1.08g
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フィルム1本から取るべき水分量は
(60%RHを30%RHにしたとき)
TAC
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4.20−2.22=1.98g/35mm100feet 1本
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PET
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1.68−1.08=0.60g/35mm100feet 1本
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キャビネット一段でとる水分量
(1列11本×6列とすれば)
TAC
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1.98×11×6=130.68g/キャビネット一段:66本分
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PET
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0.60×11×6= 39.60g/キャビネット一段:66本分
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したがって乾燥剤が吸収する水分は、フィルムだけからは上記のようになります。
当社で販売しているシリカゲルは一袋100gですが、水分を約25g吸湿します。(100g⇒125g)
キャビネット一段(66本分)の内の湿度を
60%⇒30%RHに下げるとき、マイクロフィルム含水量を調湿するため乾燥剤は何袋必要?
TAC
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130.68÷25g=5.2272袋/キャビネット一段:66本分
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PET
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39.60÷25g=1.584 袋/キャビネット一段:66本分 |
あくまでもこれはマイクロフィルム自体に含まれる水分の調湿量です。
弊社の図書館キャビネット(11段 726本以上収納) で計算すると
TACベースマイクロフィルムの場合、66袋+α
PETベースマイクロフィルムの場合、22袋+α
をだいたいの目安としましょう。
(プラスα) キャビネット内の空気中の水分 と 開け閉めの頻度 と その時期
(キャビネットの設置部屋の温度湿度環境) により乾燥剤の加減が必要です。
(ロールフィルムの乾燥効果について)
湿度によるマイクロフィルムの諸劣化を防ぐために環境を30%RH前後に保たなければなりません。
シリカゲルのような吸湿剤を使用する時には、急激な低湿環境(過乾燥)に気を付ける必要があります。
リール状態の場合は図のようにまず外側(空気に触れている部分)からリールのコア(中心)とフィルムの中心に向かって、1〜2ヶ月をかけて吸湿していきます。
急激なシリカゲルの投入によりフィルム外側が過乾燥し中心が過湿という状態をつくらないためには、キャビネット内の湿度をたえず30%RH(計測器の誤差も考慮した上で30%RHを目標とする)に保つようにした方が良いと思われます。
上の目安を考えずに一度に大量のシリカゲルを入れると15%RH以下になってしまう可能性があります。
15%RH以下は、マイクロフィルムにとって過乾燥となりますので注意しましょう。
キャビネットの開閉を頻繁にされたり、高湿度の季節に開閉したり、又密封式キャビネットでない場合は、湿度の下がり方が
上記のとおりにならない事があります。
温湿度計で計測しつつ、除々に下げていくようにし、キャビネット内を30%RH環境につくりあげるようにした方がより良いでしょう。
マイクロフィルムにとって急激な温湿度の変化は避けなければならない条件のひとつです。
・ 乾燥剤の取り替え時期
シリカゲルに含まれている青い粒子がピンク色になったら吸湿効果が弱くなっています。
または当社の100gシリカゲル1袋の重量が125gなっていればこれ以上の吸湿効果はほとんどなくなりますので乾燥剤を新しいものと入れ替えましょう。
少々割高となりますが、入れ替え作業と廃棄も含めて作業してくれるマイクロラボ業者(弊社)に委託しましょう。
・ 最後に
P.P(ポリプロピレン)の黒ケースは、密封(ケースの中は)になっておりますので吸湿効果を考えた場合、中性紙ケースに入れかえることをおすすめします。さらに、通気性のあるポジ用リールに巻き替え、中性紙帯で軽く止める事が望まれます。(輪ゴム厳禁)
酢酸臭のするマイクロフィルムは、至急 専門業者 (弊社:マイクロラボ) に相談したほうがよいでしょう。
ADストリップスで大まかな劣化状態を確認することができます。対策を急ぎましょう。
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