2007年1月5日 午前10:00〜10:40

  社長のことば
(従業員のみなさんへ) ・・・・・以下、口語調のままの記載となります



感即動
さらに感動 (心の汗をかこう)



                        (話内容の一部未掲載部分等有)


 1: 創業45年   7: 涙がとまらなかった仕事
 2: 老舗かつベンチャー   8: アンテナをより高く張ろう
 3: 感 (即) 動  すると結果が変わる   9: 感動が不可能を可能にする
 4: 本物の感動の機会を探ろう  10: 記録のちから
 5: 神風特攻隊員の遺書  11: 王道をゆこう
 6: You tube 参照  12: 進化する集団へ

2007年です! 改めまして従業員の皆さん、 あけましておめでとうございます。
(プラズマディスプレイでこの文章などを見ながら)

新年の私のことばのサブタイトルは、
さらに感動 (心の汗をかこう) です。 ==  こんなタイトルは、かつて流行った青春ドラマみたいで青臭い! と思いますよね。  私もそう思います。

まずは、お茶をのみながらでも、
30分くらいになりますので 肩の力を抜いてゆったりとした気持ちで聞いてください。

 
 1 ● 創業45年


今年で創業より45年目を迎えることとなります。
昭和37年から年輪をかさねながら 「業界の老舗中堅どころ」 として成長させていただいております。
当社をご用命頂いているお客様方、協力いただいている関連会社方のおがけであり、また従業員の皆さんの日々の努力の賜物です。ありがたいこと、感謝もうしあげます。
皆さんと一緒に 日々 目の前に現れる多くの難題から逃げまわらず、しっかり捉えてそれを糧として根を張り、ゆえに成長できている と感じています。


 2 ● 老舗かつベンチャー


今年、私が従業員の皆さんに特に意識してほしことは、
老舗の看板に甘んじることなく、ベンチャー企画を練り上げながら歩んでいる組織ですが、それを継続するために、表題のとおり 「さらに感動 して仕事してゆこう!」 ということです。

 「仕事を楽しめない人は、人生の真の楽しみは得られない
  という意味の言葉がビジネス啓蒙本に在りました。



 3 ● 感即動

すると結果が変わる話。

有名な経営コンサルタント: 関西の元塾講師時代、
成績の芳しくない生徒を次々と 「変身」 させた先生。
船井総研 経営者勉強会でその熱弁を聞くことができました。 (その一部)

★ 受験の日の朝、受験会場前で受験生だけ集めて私、 受験生に言うんです。

先生: 今までお前ら、ようがんばってきたな。 えらいっ! でも、この受験のステージまでこれたのは自分だけの力か?

受験生: 先生や親のおかげです!

先生: そう思うんだったら会場まで見送りに来てくれた、あそこにいる親元に 受験前に何か言い忘れていることはないか?

受験生: ありがとう!って言いたい。

先生: よっしゃ!行ってこい、感謝の言葉でもなんでも、言ってこい。 (親元に走り出す生徒)

受験生: お母さん!いつも朝早くお弁当作ってくれて、夜食もつくってくれて、ありがとう、お母さんのおかげで僕、今日この受験のステージに立つことができました。

お母さん:  (思いがけない我が子の言葉に、言葉を失い感動して思わずむせび泣くお母さん)

受験生:  (お母さんの意外なほどの感動を見て、感動し、むせび泣く受験生)



先生曰く、
受験会場前のその箇所だけが、もう 「感動の堝 (るつぼ)」 となるんです。そうすると不思議なことが起こるんです。 これはまぎれもない私の経験値です、その生徒生徒の力以上の成果が現れるんです。

比較実験ができないですけど、このように感動してから試験に望んだ場合、生徒の力以上の奇跡が起きる可能性が、確実に高くなるんです。


 「感動の語源は 中国にあったんですね。
驚くことに感と動の間に即があったんですわ。 
感即動 これを知った時には、私は嬉しくてたまらず小躍しましたね!
感じれば人はみな、即、自ら動きだす! ということです。 
 その語源のとおりや!
間違いない! 感動がなにより大事や。 そういうもんや、
 例外は無い!
しっかりと素直に感動できる人間が、受験だけでなく 人生に勝つんや!」  と。 ★



 4 ● 本物の感動の機会を探ろう


恐縮ながら私事ですが、
十数年前の若輩二十歳代で、会社を店頭公開させたいという高遠な理想を抱き、仮想ライバルと年間目標を自分なりに設定し、会社の業績と自分の能力の向上・功名に焦る青年でした。

しかし次の 「感動」 によって、私の記録に関わる仕事への考え方・価値観が一変し、
私たちの仕事である 「情報・記録の保存と活用」 をより客観的かつ主観的に業務するきっかけとなりました。
何人かの人にはすでに何回となく話している内容ですが、改めて文面と映像で今回まとめてみました。



 5 ● 神風特攻隊員の遺書


私が二十代時、戦史資料 「神風特攻隊員の遺書」 を複写する機会を得ました。

特攻隊員のほとんどは十代後半から二十代の年端もゆかない青少年。 被写体は、特攻前にワラ半紙のような紙に (時に涙?で紙を滲ませたであろう痕跡がある物もあった)家族あてに書いた記録・遺書である。

終戦後 「その遺書を任されて複写している」
それを実際に自分の手にとって複写をはじめたとき、複写という仕事自体が、自分の理解の外にある重大な任務を負うことがある、と気が付きました。

当然ではありますが、
私たちは資本主義・民主国家の会社法人ですから、第一に品質と作業効率を考えながら利益を追求し確保しなければなりません。会社法人故に複写業務には、「時間当たり何枚×単価処理しなければならない」 という損益分岐点売上高が付きまといます。
被写体内容に見入ることをしてはなりません。 組織としても成り立ちません。

しかし、その擦れかけ消えかけた文字を まずは濃度調整のために目で追いはじめました。
濃度調整をせねば文面が読めなくなる可能性のある濃淡の少ない筆記であり、かつ酸性劣化の激しい紙質であったため、慎重かつ丁寧に作業するように、となっていったのです。


 6 ● You tube参照


 ★ 遺書: (一例を音読) 画像

 ★ 特攻隊映像: (鑑賞) https://www.youtube.com/watch?v=_wrmrAhkTRU



 7 ● 涙がとまらなかった仕事


記録 (手紙・遺書) 数十通の内容には、
自分の生、今この世に存在している事実とその主張。
自分の亡きあとにそれを読む家族方への思いなどが綴られておりました。

ある程度の検閲こそ遭ったかもしれませんが、それらや紛失や災難を乗り越えて現在まで残され続けた たった数枚の紙に集約させた人間の魂の顕れである。
その記録(魂の顕れ)は後世のそれを目にする人々(魂)に様々な影響を及ぼす可能性を秘めている。

一言一句は、
次第に胸を小刻みに震わせ、頭から首筋、腕に鳥肌がたち、涙が止まらない状態にさせました。
「記録を自分などの涙で汚さないように! 取り扱いや濃度をしっかりせねば」  
ハンカチを棒状にして眼鏡の両脇に引っ掛け、それをトイレにゆき絞るほどの数時間にわたる長丁場の仕事となったのです。

記録の保存という仕事、
「遺書 (人間の存在した記録) を残す、そしてそれを後世に伝える (記録を永遠に生かす) 仕事であった・・・至極当然の事に何故今まで、しっかりと意識していなかったのか?」
自分の記録を扱う仕事に対する考え方は浅はかであり、
記録とそれを作成した主、残す努力を施してきた方々に対しても失礼であり、天罰こそ当っても当然と感じました。

頭を鐘突き棒で張り飛ばされたような衝撃 と 凄まじい羞恥心に苛まれつつ、
同時に 「記録を残す」 という人類史上このうえない光栄な仕事を縁あって与えていただけている自分の今いる立場の不思議さを思い知らされたのです。

その時の胸の震え 「感動」 が、
心に潜在的に染み付き、後にあつかう様々な記録 (被写体) の存在意義を 自分なりにその都度に 筆者を想像し、被写体ごとに様々な想いをめぐらしながら仕事することを ほとんど無意識にでも心がけることができる習慣がついたような気がしています。
その後、尊敬する「歴史的人物方」の様々な資料にも出会えるようになりました。

「感動」でき、そして 「誇り」 をもてる名誉ある仕事、と気が付くことは、このような機会に恵まれなければ、私のような古文書文字が読めない浅学で楽天家であった人間の場合、なかなか得られなかったかもしれません。
「この感動が気がつかせてくれなかったら・・・いつ本気で仕事に感動できたか?」 と・・・
今でも そう考えると血の気が引くような想いにかられると同時に、この有難い気づく機会に恵まれ、特攻隊の方々に記録の大切さを教えていただいたこと、記録 (命のことば) に巡り合えたご縁に胸が熱くなるのです。


 8 ● アンテナをより高く張ろう


当社のベテラン撮影者方は何回となく感動を得ているであろうし、ここ3〜4年の入社社員は幸いにして日本史を専攻し、記録資料やアーカイブズ学に何らかの形で関わっていた経験者ばかりであり、経済学部出の私などの今の話しは、釈迦に説法のようでもあります。それも実は頼もしい気がしますが、そう感じていながらもこのような話を今後もしなければと考えています。
話しを聞いただけでは、「感動」 を理解し共有出来ない、という人も存在するという現実があると思います。
それは当然なことです。 私もかつてそうでしたから。

私はかつての自分に語りかけるように 皆と語り合い、又、伝承し続けます。 自分も感動を共に増幅してゆくために!

そして、自分がこのような場や朝礼の場で 「情報・記録の保存と活用」 の仕事の意味を各人と話しあうことによって、絶えず従業員の皆さんと一緒に 「記録・情報の保存と活用」 の 「アンテナ」 を少しでも広く高く張り続けることができれば、自然と「感動を得られる体験」 がさらに増えてくる機会にさらに恵まれる、と感じています。


 9 ● 感動が不可能を可能にする


かつては、
私が現場の第一線で仕事し、感動の主役となり、その 「おいしいところ」 を知らづのうちに独り占めしていたような時期が永く在りました。しかしここ十年、社員ひとりひとりがそれぞれの仕事に 「感動」 して 「感動の主役」 となることこそ皆の幸せであり、社会貢献度の高大にも繋がると考え、なつべく脇役に徹してきたつもりですが・・・。
特にここ4〜5年くらいは従業員の自主的企画・行動も増えはじめ、真に自ら感動できるチャンスに皆が恵まれるように少しずつ成ってきていることが現象として現れていますね。

そのような 「感動」 の多い人は、
「世の中に足りないもの、役立つもの」 が天からその人の思考に自然と降り注ぎ、それに共鳴する仲間たちにも自然と恵まれ、今まで不可能か、と思えていたようなことが、たいそうな苦もなく可能となってゆき、更なる感動を得られる。
本当に不思議な現象です。



 10 ● 記録のちから


人が生きた証・記録を後世に伝える仕事。
翻訳論文集 『入門アーカイブズの世界』 などに描かれているように、世界中の多くの先人方が記録の意義を問い、それぞれの理想を追って懸命に対処し活動されました。 結果、様々な記録が現在に至っていると伺えます。

記録には私たちの想像を絶する様々な 「ちから」 が潜在し、それは時に顕在化して身近な組織だけでなく、政治や国家間を動かし、未来をも大きく創造する力がある ということをしっかりと理解してゆかねばなりません。

私たちは 「被写体の内容の真偽を問うことを避け」 ながら 「真正に記録を残す仕事」 が 「いかに名誉ある大切な仕事か」を 「感じて動く」 ように進化してゆかなければならないと考えています。

これも私の口癖ですが 「自分がやらねば誰がやる」 そういう気持ちで仕事を進化させましょう。
三人四人と・・一人でもそういった視点で考える人が増えてゆけば、さらに社会的存在価値の高い会社になれることは間違いありません。


 11 ● 王道をゆこう


経営者として、人として、私ははまだまだ拙いところがたくさんありますが、
従業員の皆さんと一緒に 世の中の王道を歩んでゆきたいと思います。

先代からの教えで 「儲け過ぎず損をせず」 「不可能を可能とする姿勢で仕事に臨む」 など・・・厳しいのもがあります。 
私たちは、巷にある おいしい話には右往左往されず、ツテやコネに重きをおかず、高慢とならず、卑怯な振舞いをせず、他者を貶める嘘をつかず、利益を他者から奪わずに自ら創造して得、正しく精進する人が報れることをなるべく応援し、「個人の損得より社会的な善悪」 を判断の基礎とし、さらにそれらの情報発信をおこない続けることできるようになれるよう 進化してゆきたいものです。

私も従業員の皆と共に学び、切磋琢磨しながら今の目前の仕事を深く考え、たくさんの感動を得ながら仕事し、真の人生の感動を体感しながら、子々孫々と誇れる組織、それこそ歴史・記録に残るほどの社会的存在価値の高い人間集団に進化成長できたら、これほど嬉しいことはないと感じています。

 「その為に天が我々に命を与えてくださった」 という気持ち、 使命感までをしっかりと感じとれるようになれたら本物ですよね。
少々欲張りすぎのように聞こえるかもしれませんが、
当社の現在のお客様の層を見れば解ります、その仕事はときに 「聖域」 です。
その立場にある会社であり、それを期待されており、それを感動しながら進化してゆける可能性を秘めているのです。ゆえに今ここに在る(居る)のですね。 私はいつもそう考えています。 


 12 ● 進化する集団へ

なにはともあれ、
昨年もいろいろな事がありましたが、品質マネジメントの不適合報告がどんどん出るほど、素直で前向きな人間の集まりに変身できてきています。 それも嬉しいことです。
不適合とクレーム報告書の隠蔽は厳罰です。 隠蔽こそ組織を傾かせるほどの負の力を有してます。
匿名でもかまいません。 会社全体でPDCAを回すための自己犠牲は賞賛されて当然です。

「チャレンジシート」 も 「プロジェクトM」 もどうにか着実に進んでいます。 (表 参照)
忘年会のおりに数字成績を話したとおり、お蔭様でここ40年以来、どうにかですが会社が赤字になったことは無く、去年の数字もそれなりにですが、そんなには悪くは無いですね。 経営理念、品質方針など、創業者の教えと皆さんの意志が盛り込まれた 「わたしたちの3つの方針」 を守りながら、しっかり仕事する皆さんの気持ちがそのまま数字にも現れていると感じています。年末賞与では経常利益を反映し、通年以上に賞与を獲得できた人が何人か出てきましたね! 
利益の還元、しっかりと反映してゆきます! 「会社数値目標」 を達成し それぞれで作成した 「私の百歳計画」 のとおりに 「会社目標」 と 「それぞれの夢」 に向って、 将来を築いてゆきましょう。

「今が会社の史上で最高レベルの人間集団」 と事あるごとに皆と確認し合いますが、正に進化する集団になってきていると感じてます。 創業から現在に至るまでの退職者を含めた諸先輩がたの縁の下の力のおかげでもあります。

個の 「感情や見栄」 などで右往左往するのではなく、 「感動や利他の心」 でオリジナリティあふれる社会的存在価値の高い行動ができる人間の集団に少しずつ変化・進化してゆきたいですね。

自分たちは、自分たちが思っているほど弱くはなく、しかし強くもないものかもしれません。
ゆえに、自分たちの立場と考え方の基本を時折確認しながら進まなければなりません。
そうすれば昨年にもまして充実したすばらしい一年を創ってゆけるでしょう。

まずは健康が第一です。
今年も病気や事故が少なく過ごしてゆけることを祈りつつ
以上、2007年仕事初めの 「社長のことば」 とさせていただきます。


                             

 13 ● 唱和

   経営理念
   会社方針
   品質方針 を全員で唱和

  ・一本じめ

                     2007年1月5日 午前10:00〜10:40

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