1. まずはじめに、様々なマイクロフィルム種類と構造のご説明、マイクロフィルムとデジタルデータ それぞれの「長所・短所」の説明と、
「両者の長所を相互に補完しあい両方の媒体で保存と活用をする方法」(=ハイブリッド)の説明があった。
2. 次に、4月の出版予定の新しい国際規格「ISO11506 COM(注3) /COLD(注4)」の概要説明があった。
序文では、
・ 世界的に電子文書を認める法律が制定されていること
・ 「参照用アーカイブ」という位置づけで「マイクロフィルムが採用されている」こと
・ 個人情報を保護しながらアクセス性と保存性という二つの要求を満たすための
「デジタル/マイクロハイブリッドが謳われている」こと
等が注目される。
また、本規格のCOMの定義で、非改ざん性があるとして採用されたのは
薬液現像処理で作成された「銀-ゼラチン・オリジナルのマイクロフィルム」である。
3. 最後に、2で説明のあった「ハイブリッドシステム」の補足説明として、
「国内外の政府・公文書・民間企業の具体的な事例」が紹介され、
「組織の体制確立のためには文書管理の確立が不可欠である」という結論で結ばれた。
●KMS(国際マイクロ営業部)の感想
・当社では2002年に国内マイクロラボで初めて電子データを直接35mmのマイクロフィルムにレーザーでプロットする機器(注5)を導入し、デジタルデータのアナログ保存についてセキュリティエキスポ等展示会において文書のアナログ管理について紹介をし、大変な好評をいただくことができた。昨年は建築基準法の改正も相まって、民間企業等の情報管理に活用いただいている。
・今回、デジタルデータの長期保存媒体について「ISO11506の国際規格」が定められた。そのことにより、当社としてもいち早くお客様へご提案させていただいていた新しいCOM化のサービスがISO規格化という裏付けにより、さらに今回立証できた思いである。文書の管理においてより安全である提案であると感じ、未来のデジタル情報の管理にむけて指標をしめすべく、喜ばしい規格化とその説明であった。
・私たち情報管理専門業者こそ、世界標準をいち早く捉えながら、社会にその情報とサービスを提供し続けてゆかねばならないという気持ちを新たにした。
昨今の問題として以前に比べ、重要な内容の電子メール等も増加しており、それらの信正性の確保にもCOM(マイクロフィルム化)とCOLDは新たな保存規格として有効となろう。
・ここ数年、新聞等でも取り上げられている公文書等の管理法についても、電子決済の増加に伴いボーンデジタルデータ(注6)を長期保存していく必要が生じている。ISO11506
COM/COLD制定により、現在法制化に向けて動き始めた「公文書管理法」や「e文書法」にもますます波及してゆくことは間違いないと感じる。
2009.3.23
注1 マイクロフィルムの種類については、下記HPをご参照ください。
http://www.kmsym.com/micro/micro.htm#形態
注2 マイクロフィルムの構造については、下記HPをご参照ください。
http://www.kmsym.com/micro/micro.htm#断面図
注3 Computer Output Microfilmの略。コンピュータが創り出したデータ(ビット信号)を人間が読むことのできる文字や数字 に変換し、それを電子的・工学的にマイクロフィルムに記録したもの。主に、金融機関等で使われていた。
注4 Computer Output Laser Diskの略。CD-RやDVD-Rのような、レーザーで情報を記録するメディア。
注5 ドイツ製ポリコム、日本製AR1000(富士フイルム)という機器がある。
http://www.kmsym.com/polycom/polycom2.htm
注6 電子文書。コンピューター上のソフトウェア等で作成されたコードデータで構成されたもの。
スキャナなどで取り込んだ画像は「電子化文書」。